岸田政権は6月、金融業の集積と地域産業の発展を目指す「金融・資産運用特区」に北海道・札幌市など4地域を選んだ。海外の金融機関や投資マネーを呼び込むことで、人口が減っても経済を成長させることが主眼だ。ただ、かつて沖縄県名護市に導入された日本初の「金融特区」は成果が出なかった苦い歴史もある。沖縄の失敗から何を学べばよいのか。高岡法科大学の金岡克文教授に聞いた。

 ――今回、北海道と札幌市は、風力発電や太陽光発電など再生可能エネルギーの高いポテンシャルが認められて「GX(脱炭素化)金融・資産運用特区」に選ばれました。

 GXは国が推進する政策で、金融庁も後押ししている。名護市の前例に比べれば、国との調整はできています。提案メニューも、東京都や大阪府・市、福岡県・市と比べて、最も具体性があり評価できます。

 ただ、GXの市場をつくる動きは欧州にすでにあり、北海道に外資系金融機関が進出してもらうための決定打にはなっていない。あれも、これもと提案メニューも盛り込み過ぎで、国内、海外のどちらのマネーの呼び込みが主なのかはっきりしません。

 ――日本初の名護市の「金融特区」はどんなものだったのですか。

 政府は沖縄振興特別措置法を…

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