
日本銀行が今春、17年ぶりの利上げに踏み切りました。これから日本が「金利のある世界」になると、どんな変化が起きるのか。経済学者の楡井誠さんは、その影響や損得の多面的な関係を語りつつ、国にとっては「改革の好機」でもあると指摘します。
にれい・まこと 東京大学大学院経済学研究科教授。専門はマクロ経済学。著書に「マクロ経済動学 景気循環の起源の解明」。
金利を低く抑える金融政策は、「リスクを取れる人」のチャンスを広げてきた面があったと思います。
これまでは、余裕がありリスクを取れる層が、超低金利で調達したお金を高リスク高リターンの不動産やビジネスなどに投資することで、さらに資産を増やしやすい状況が続いてきました。それはまさに、ピケティが「持てる者がさらに富む」構造として指摘した資本収益率の高さの享受であり、いわゆる格差を拡大させる力だったと思います。
しかし今後、金利が上がって…