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東京大やNTTなどのチームは、光を使って従来よりも1千倍以上速い「量子もつれ」を起こすことに成功したと発表した=東京都千代田区
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 東京大とNTT、理化学研究所のチームは29日、量子コンピューターに欠かせない「量子もつれ」と呼ばれる現象を、従来の1千倍以上の速さで起こすことに成功したと発表した。光の特性を生かした成果で、従来のコンピューターより速い「高速量子計算」の実現につながるという。

 量子計算は、ミクロの世界で働く「量子力学」を利用する次世代の計算技術。互いに影響し合う二つの粒子の一方を観測すると、どんなに離れていても、もう一方の粒子の状態が同時に確定する「量子もつれ」という現象を使う。

 この現象を実験で立証した研究者らに2022年、ノーベル物理学賞が贈られている。

 東京大の古澤明教授らのチームは光の粒を使う方法で、1秒間に最大100万回程度の量子もつれを起こしてきた。ただ、従来のコンピューターが1秒間に10億回ほどの信号を出せるのに比べ、計算速度に限界があった。

 そこでチームは、NTTが光通信用に開発してきた、特殊な結晶を組み込んだ光増幅器を活用。これを光源と測定の両方に使うことで、光の量子もつれを、1秒間で最大600億回ほど起こすことに成功した。これまでより1千倍以上速くなり、従来のコンピューターを上回る速度の計算が期待できるという。

 光方式の量子コンピューター…

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