野犬の子として生まれて保護され、これからともに生きていく飼い主をさがしている子犬=2024年11月9日午後0時11分、北海道恵庭市牧場、鈴木優香撮影

 都会では、目にする機会がめっきり減った「野犬」。だが近年、北海道の畜産農家で牛が襲われる被害が相次ぐなど、地方都市では野犬による問題が深刻化している場所が複数あり、各自治体で対策を強化している。専門家は、一般の人のエサやりが繁殖を促す一因になっていると指摘する。

 北海道別海町の共同牧場で10月、生後12カ月の牛2頭が野犬に襲われた。1頭は衰弱死し、もう1頭もけががひどく安楽死させた。

 JA道東あさひ上春別支所などによると、春先にも同様の襲撃事件が起きた。被害に遭った前嶋牧場の前嶋敏浩さん(63)は、酪農家になって以来初めての経験だと話す。「牛には牧草を食べさせてあげたかったが、放牧はできなくなった」

 同町の別の酪農家の男性は、以前から野犬をたまに見かけることはあったが、「12~13年前から野犬が増えてきた印象がある」。多くが中型犬で、同じ一族に見えるという。チームワークも高い。群れでシカを柵沿いに追い込んで狩りをする様子も確認されている。

 畜産農家も多い道東地区では、こうした被害が相次いでいる。町は特定の群れによるものとみて、箱わなを仕掛けるなどしているが、警戒心が強く、捕獲に至っていない。

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