特別公開された塔屋の窓から、弘前の市街地を眺める来場者。天井の一部(右上)が「金唐革紙」で装飾されている=2024年11月19日午前11時24分、青森県弘前市、江湖良二撮影

 青森県弘前市出身の建築家、堀江佐吉(1845~1907年)の代表作とされる国の重要文化財「旧第五十九銀行本店本館」(青森銀行記念館)。完成120年を記念し、建物3階にある塔屋が19日、特別公開された。公募で選ばれた20人が、普段は見られない眺望を楽しんだ。

 公開された塔屋は正面3階部分にあり、2階の会議室から急勾配の階段をのぼった先。2畳ほどの部屋には、ヨーロッパから輸入された皮革工芸品「金唐革」を和紙で再現した「金唐革紙」が残る。市教育委員会文化財課は「客人を案内したのでは」という。

 北向きに開け放たれた窓からは、正面の市民中央広場が見え、積雪で白一色となった街並みが見渡せた。市内から訪れた熊谷一敏さん(77)は「見たことのない風景。眺めがよくて感激です」と話していた。

 津軽藩お抱え大工の家に生まれた堀江は洋風建築を手がけ、県内を中心に1500棟以上の建物の建築に関わったとされる。

 記念館は、県産のヒバやケヤキを使用した木造のルネサンス風で、1904年に完成。43年の合併後は青森銀行弘前支店として使われた。65年に東向きだった建物を北向きに曳屋(ひきや)して以降は、記念館として利用されている。

 建物の保存状態はよく、木材を三角形に組み合わせたトラス構造などが技術的に優れているとされ、72年に国の重要文化財に指定された。(江湖良二)

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