
北九州市門司区の実家で妹の山本美智恵さん(当時55)に暴行を加え死なせたとして、傷害致死罪に問われた福岡県警田川署の元警部補、広瀬守隆被告(58)=福岡県直方市=の裁判員裁判の判決が13日、福岡地裁小倉支部であった。武林仁美裁判長は、懲役9年(求刑懲役10年)を言い渡した。
弁護側は飲酒の影響で犯行時は責任能力が減退していたと訴えていた。判決は「犯行前後は周囲の状況を認識し行動している」などとし、行動を制御できないほどの酩酊(めいてい)状態ではなく責任能力があったと認定。公判で「逃避的・他責的な弁解に終始」したとし、「警察官として犯罪被害への対応経験があることを考えると、遺族に対する謝罪や被害弁償への対応も不誠実」と指摘した。
判決によると、広瀬被告は2023年12月31日夜、実家で山本さんの頭部や顔などに暴行を加え、外傷性脳障害で死なせた。酒を飲みにいくのを止めるなどの被害者の言動に腹を立て暴行に及んだとし、「動機は身勝手で経緯にも酌むべき点はない」と断じた。