東京都議会の自民党会派「都議会自民党」が開催した政治資金パーティーをめぐり、会派の政治資金収支報告書に収入の一部を記載していなかったとして、東京地検特捜部は近く、会派の経理担当の男性職員を政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で略式起訴する方針を固めた。不記載の総額は3千万円を超えるという。
関係者への取材によると、都議会自民党のパーティー券は1枚2万円。会派事務局は、1人につき100枚(200万円分)を現職都議に渡し、販売ノルマを50枚(100万円分)と設定。ノルマを超えた最大50枚(100万円分)の収入は会派に納めず、都議側が中抜きする仕組みだった。
さらに100枚すべてを売った都議には追加分のパーティー券が配られ、その売り上げは会派と折半していた。会派側が中抜きを事実上認める運用が常態化していたという。
政治資金パーティー収入の不記載 3千万円超
特捜部は昨年末から、経理担当の職員や会派の都議らを集中的に任意聴取。その結果、2019年と22年にあったパーティーをめぐり、現職都議や元都議らが中抜きした収入など計3千万円超が会派の収支報告書に記載されていない疑いがわかったという。都議側の収支報告書にも記載されず、裏金化されていたとみられる。
会派の会計責任者は都議が年度ごとに入れ替わり務めるが、経理や収支報告書作成などの実務は会派職員が担当し、立件目安(3千万円)を超え、聴取に不記載の認識があったと認めたことなどから、特捜部はこの職員を略式起訴する方針だ。中抜きした都議や会派幹部を務めた都議らは、不記載額が少ないことなどから立件されないとみられる。会派の収支報告書に記された19年のパーティー収入は6246万円、22年は6112万円。
政治資金パーティーをめぐる裏金問題は、自民党の国会議員が属する主要派閥で発覚した。特捜部は24年、安倍派が総額約13億5千万円、二階派が同約3億8千万円、岸田派が同約3千万円を不記載にしたと認定。各派閥の会計責任者3人や国会議員4人(元職を含む)、秘書4人の計11人を在宅・略式起訴した。都議会自民党も、ノルマ超えの収入を裏金にしていた安倍派とほぼ同じ構図だ。