写真・図版
長島美紀さん

 「都市における樹木の伐採をめぐる議論を見るたびに、東京都の『東京グリーンビズ』が掲げる緑と調和した街づくりの難しさを感じます」

 9月1日配信の記事「実は減っている23区の緑 問われる都市計画、深夜まで見守る住民も」に、一般社団法人「SDGs市民社会ネットワーク」理事の長島美紀さんは、こうコメントした。

 記事では、都内の緑が都市開発や道路沿いの樹木の伐採などで数年前に比べて減っているという研究結果を引用。東京都は緑と調和した街づくりを目指すプロジェクトを始めたが、各所で樹木の伐採が目立ち、住民と自治体との間で保全をめぐる衝突が起きていることも伝えた。

 長島さんは、自身の住む地域でも高齢化した木がこの数年で伐採されるようになったとし、「通行する人や車の安全性を確保するために、やむを得ず伐採する場合もある」中で「安全性と環境、また地域のシンボルとしての存在意義」の調和が課題になると指摘。

 いま全国にある街路樹の多くは高度成長期に植えられたものと紹介した上で、経済成長に伴う急速な都市化は「無計画な住宅建設や市街地の拡大」を引き起こしたとして、それに伴って植樹された街路樹は過酷な舗装環境に置かれるため「『老朽化』しやすいことが指摘されています」と記した。

 いま一転して人口減少や一極集中、それに伴う再整備などに直面している日本で、これからの街路樹はどうあるべきなのか。長島さんは「樹木の生育環境に配慮し、かつ将来世代に受け継げる持続可能な都市緑化計画とは何か、改めて考えることが、行政と住民双方に求められています」と結んだ。

 この記事や、長島さんのコメント全文はこちらから(http://t.asahi.com/wo62)。

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