A-stories 8がけ社会 消滅の先へ(記者コラム)
地方が消滅する――。都市部にしか住んだことがない私には、実感の湧かない問題だった。ただ、都内に住んでいても、なじみの場所に介護施設が建てられたり、コンビニや建設現場などで働く外国人が多くなったり、人口動態が変わっていることは実感する。
地方から変わりゆく日本の未来を自分の肌で感じて考えたいと思い、リクルートワークス研究所の坂本貴志研究員のお誘いを受けて、奈良県川上村に足を運んだ。人口減少が急速に進む村とあって、住民はどれだけ不便な生活を強いられているのだろうかと危惧していた。
ところが現地で目にしたのは、暮らしを楽しむ住民の姿だった。予想していたものとは全く違った。
「ここでは70代で若い『こばあさん』」
山奥にある井光地区に住む人…