国が進める公立中学校の部活動の地域移行は、4月に「改革推進期間」の2年目に入った。初年度を終えて見えた課題やこれから取り組む自治体にとって必要な視点を、国の検討会議メンバーだった笹川スポーツ財団・吉田智彦研究調査グループ長に聞いた。

 ――2025年度までとする推進期間の初年度が終わりました。

 「国のモデル事業を受託した自治体では取り組みの運営形態や体制の課題が見えてきて、それにどう対処するかという段階に入りました。まだ動き出していない自治体にとっては『先行事例に学びながら慎重に進めたい』という感覚もあるでしょう」

 ――見えた課題というのはなんですか。

 「笹川スポーツ財団の調査では、中学から高校に移る段階で一定のスポーツ離れが生じる傾向がみられます。ある自治体で、中学校から休日の活動を地域クラブ活動に移行したところ、何らかの理由で約3割が不参加の選択をしたといいます。改革の推進がスポーツ離れの時期を早めることにならないか懸念しています」

 ――なぜ移行がスポーツ離れの時期を早めることにつながるのですか。

 「一つは、生徒が払う活動の…

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