居酒屋「虎徹」の店主・田中斉さん=2024年11月27日午後10時4分、青森市、鵜沼照都撮影

 青森市の繁華街にある居酒屋「虎徹」の店主、田中斉さん(68)は、3年連続で司法試験に挑戦している。スペイン語はネイティブ並みに堪能で、裁判所での法廷通訳もする。国家資格の行政書士試験には還暦で合格、昨年9月には市内に事務所を構えたが、挑戦は止まらない。

 仕込みが終わった開店前、営業中で客が途切れたタイミング、午前2時の閉店後……。田中さんは毎日2時間以上、司法試験に向けて勉強する。スペイン語の技量維持のため、さらに最低1時間の練習も欠かさない。

 「古希(70歳)で司法試験に合格出来たら格好いいだろうねぇ」と笑うが、限られた時間での勉強は真剣そのものだ。

 難関に挑み続ける理由について、田中さんは「若い頃の自分に『復讐(ふくしゅう)』したくて……」と話す。目標を持たず自暴自棄になったり、快楽に溺れたりした時期がある。そこへの後悔だ。

問題児、メキシコへ

開店前、閉店後、客足が途絶えた時……わずかな時間でも、田中斉さんにとっては貴重な勉強時間だ=2024年11月27日午後4時10分、青森市、鵜沼照都撮影

 田中さんは1957年、青森市に生まれた。中学校から空手を始めたが、進学した商業高校では、「毎日毎日、ケンカに酒、たばこ。とにかく問題児」で、1年持たずして自主退学した。

 川崎市の定時制高校に再入学し、下請け工場で梱包(こんぽう)作業をしながら高校生活を過ごした。担任教師は、大学への進学と第2外国語はスペイン語を選択するよう助言した。

 「日本には不向きだから、中…

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