戦時中の水没事故で183人が死亡した山口県宇部市の長生(ちょうせい)炭鉱で2日、市民有志が遺骨収集をめざして実施した3日間の調査が終わった。海底の坑道内から木製の部品など数点を持ち帰ったが、遺骨につながるものは見つからなかった。4月に改めて調査する、としている。
調査を手がけるのは、市民団体「長生炭鉱の水非常(みずひじょう)を歴史に刻む会」(刻む会)。2日までの調査では、潜水を依頼された水中探検家の伊左治佳孝さん(36)が坑道に通じる坑口から坑道内に入った。
刻む会は調査で、遺骨が残っているとみられる、坑口から沖合330メートル付近への到達をめざした。しかし、坑道内には構造物が数多く残っていたため、伊左治さんの行く手を遮り、目標地点にはたどり着けなかった。
この日の調査後、伊左治さんは坑口に加えて、坑道につながる排気口「ピーヤ」から探索する必要性に言及した。
4月の調査には、伊左治さんと韓国のダイバー2人の態勢でのぞむ。「刻む会」共同代表の井上洋子さん(74)は「遺骨に対面できる時がくるまで、一歩一歩前進したい」と記者団に話した。