【動画】約5年半ぶりに営業を再開する道後温泉本館=佐藤慈子撮影

温度の違うお湯を混ぜ、道後温泉本館に送るお湯をつくる須賀弘明さん=2024年3月15日、松山市、神谷毅撮影
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 シャーッ、ブォン、ブォン……。地中深くからくみ上げられたお湯が配管を通っていく。

 機械の音なのに、気のせいだろうか、柔らかい。

 ここは松山市の道後温泉本館を見下ろす高台にある「第2分湯場」。温泉を管理する市の道後温泉事務所の設備だ。

 湯量を測る透明な配管の中で、窓から漏れる明かりを受けたお湯が、わずかに光った。このお湯はいったい何年ぐらい地の底にあったのだろう。数年、いや数十年か。

 「本館の浴槽で42度ぴったりになるよう、さまざまな温度の源泉をミックスして送り出すのが私の仕事です」

 市の職員である「汽缶士」の須賀弘明さん(46)が説明してくれた。

「0.1度の違いでも分かる」常連さん

 道後温泉の源泉は1号から2…

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