=Yifan Wu/ニューヨーク・タイムズ

As China’s Internet Disappears, ‘We Lose Parts of Our Collective Memory’

 中国の人々は、自国のインターネット事情が他国と違うことを知っている。そこにはグーグルもなければ、ユーチューブやフェイスブック、ツイッター(現X)も存在しない。ネット上で話題にしてはいけないことに触れるときには、遠回しな表現をつかう。自分の投稿やアカウントが検閲されたり削除されたりしても、仕方がないと受け入れる。

 中国のネット空間は別世界だ。彼らはそのことを知っているし、笑いのネタにさえする。

 表面的には、ショート動画やライブストリーミング、ネット通販などでにぎわう中国のインターネットだが、その実、大量のコンテンツが消え、ネット空間の「集合的記憶[collective online memory]」が失われつつある。中国の人々はいま、それに気づき始めている。

指摘した投稿も消えた

 中国の人気SNS「微信(ウィーチャット)」上で広く拡散された2024年5月22日付の投稿によると、中国のニュース専門ポータルやブログ、フォーラム、SNSプラットフォームに1995年から2005年の間に掲載されたり、投稿されたりした情報のほとんどが、今では消えてしまっているという。

 「中国のインターネットは加速度的に崩壊している」と、投稿には見出しが付いていた。案の定、その投稿自体もほどなく削除された。

 投稿の主は、成功した起業家たちを取材するブロガーの何加塩氏だった。投稿には「インターネットは『記憶』(情報の蓄積)を持っている、と私たちはかつて信じていた。それが金魚の記憶程度の短さとは知らなかった」と記した。

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NYT記者も実験してみました。アリババの創業者であるジャック・マー氏や、習近平・国家主席について、「百度(バイドゥ)」で検索してみたのです。すると……。

■実際に検索してみると…

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