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枕木を取り外し、パワーショベルで古いバラストをすくいとる作業=2025年2月12日午前10時17分、愛媛県宇和島市高串、福家司撮影
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 JR四国は12日、愛媛県の予讃線八幡浜―宇和島間で、朝夕の通勤通学時間帯を除く昼間の全列車を運休し、集中的な保線工事を始めた。従来は営業運行終了後の深夜に実施してきたが、作業員の人手不足を受け、労働環境を改善することなどを目的に初めて昼間に実施。20日までの計5日間を予定し、運休する特急の代行バスを走らせ、利用者に理解を求めている。

 JR四国によると、昼間の保線工事は、作業員の労働環境改善のほか、夜間よりも周囲がよく見えることから安全性の向上や効率アップにもつながるという。すでにJR西日本、JR九州などJR各社が実施している。

 同区間での昼間の保線工事は13日にもあった。18~20日にも予定しており、各日とも午前9時~午後3時ごろ、バラスト(砂利)交換や沿線の樹木の伐採、落石防止工事に用いる資材の運搬、分岐ポイントの検査などが行われる。

 初日は、高光駅(宇和島市)構内でのバラスト交換工事や下宇和―立間間の樹木伐採工事などがあった。高光駅では同社グループ「四国開発建設」などの作業員が枕木を撤去した後、パワーショベルで長さ13メートル分の古いバラストをダンプカーに積み込んだ。その後、運搬車に載せてきた新たなバラストが下ろされ、線路に敷き詰められた。作業用の車両はいずれも線路上を走れるが、踏切の警報機などは作動しないため、踏切には警戒の係員が待機した。この日だけで約30人が保線工事に従事した。

 社会の「働き方改革」が進むなか、保線を担う人手の確保が難しくなっているといい、JR四国保線課の徳武康一副長は「夜間の作業がつらいという理由で保線の仕事が敬遠されることがなくなり、要員の確保につながるのではないかと期待している。沿線のご理解をいただき、新年度以降も他の線区など数カ所で実施したい」と話している。

 工事に伴い、特急「宇和海」12本と普通2本が運休し、同区間では特急の代行バス12本が運転された。神戸への出張の帰り、代行バスに乗ったという宇和島市津島町の会社員男性(67)は「乗り換えが面倒で、時間も余計にかかったが、普段JRに乗る機会はあまりなく、人手不足ということなら仕方ないと思う」と話していた。

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