連なる断崖絶壁の上の遊歩道を歩くと、高さ257メートルの「摩天崖(まてんがい)」や、岩が架け橋のように見える「通天橋(つうてんきょう)」が待ち受ける。
隠岐諸島の中の一つ、西ノ島にある国賀(くにが)海岸の荒々しい風景は、日本海の波や強風が作り出した。
ただ、訪れた人の目を引くのは、そんな絶景ばかりでもない。崖の上には、牛や馬がのんびりと草を食(は)むのどかな景色もまた、広がっている。
【撮影ワンポイント】国賀海岸
遊歩道は牛馬の放牧地帯だ。眼下の絶景と牛馬とが絡む写真が撮りたい。しかし、ここは彼らの気分次第。のんびりと草を食んだり、じっとして動かなかったり。風景と牛がうまくまとまる場所に来てくれるまで待つしかない。油断すると、散乱する彼らの落とし物を踏んでしまうのでご注意を。(上田潤)
- 【特集】いいね!探訪記
牛や馬がいるのは、隠岐にあった「牧畑(まきはた)」という独自のサイクルを持つ農法の名残でもある。
やせた耕地を生かすために、アワや麦などを栽培した後、牛馬の放牧地にして糞尿(ふんにょう)で土地を肥やし、また畑作に戻す農法だ。
牧畑は現在は見られなくなったが、牛馬はいまも畜産という主産業の一員として、島に欠かせない。
町民は約2500人で、2月…