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百条委員会協議会後に記者団の取材に応じる奥谷謙一委員長=2025年2月27日午後7時35分、兵庫県庁、黒田陸離撮影

 兵庫県の斎藤元彦知事らが内部告発された問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)は27日、斎藤知事らが通報者を特定した行為は公益通報者保護法違反の可能性があるとする調査報告書をまとめる方針で合意した。

 27日は報告書の取りまとめに向けて各会派の意見を持ち寄る非公開の協議会があり、方向性がまとまった。百条委委員長の奥谷謙一県議は協議会終了後、「最終段階に来ている。表現の仕方や断定するのかとか、少し意見が分かれていたところもあるかと思うが、そういったところもしっかり協議した」と話したうえで、「意見はまとまったかなと思う」と述べた。

 問題の発端は、昨年3月に県の元西播磨県民局長(故人)が斎藤知事らの「七つの疑惑」を指摘した告発文書を、一部の報道機関などに匿名で送ったことだった。

 斎藤知事はこの文書を入手した直後、片山安孝・前副知事に作成者を調べるよう指示。元県民局長と特定し、記者会見では「うそ八百」「公務員失格」と述べ、退職人事を取り消した。元県民局長は4月に県の公益通報窓口にも通報したが、県は5月に「(文書は)核心的な部分が事実ではない」として、他の3件の不適切な行為も合わせて停職3カ月の懲戒処分とした。

 百条委は6月に設置され、七つの疑惑と元県民局長への対応が適正だったかを調査してきた。

 報告書案では、告発文書が公益通報に当たるかを検討した。片山前副知事が主張する「不正な目的」とは断言できず、通報者が不利益な扱いを受けない外部への公益通報に当たる可能性が高いとした。そのうえで、告発文書の内容を調査せずに通報者を特定したことは、公益通報者保護法違反と考えられると指摘した。

 元県民局長の懲戒処分の理由となった不適切な行為は、違法の可能性がある調査で公用パソコンを回収されたことで見つかった。これを踏まえ、元県民局長の名誉回復を提言に盛り込むべきとの意見があり、議論を続けている。

 前総務部長が元県民局長の私的情報を漏洩(ろうえい)した疑惑についても「(第三者による)調査結果は速やかに公表し、県として刑事告発も含め、適切かつ早急な対応を求める」とした。

 斎藤知事は、証人尋問で「県の一連の対応に問題はなかった」と繰り返し主張してきた。報告書は3月5日の県議会本会議に提出される予定。

 県の公益通報窓口の調査に続き、県議会百条委員会の調査も、告発文書のうち一部の真実性を認める方向になった。これまで「真実相当性が認められない」と主張してきた斎藤知事の姿勢が、改めて問われることになる。

 調査報告書案では、告発文書のパワハラの項目に書かれた、斎藤知事による職員への強い叱責(しっせき)や付箋(ふせん)を投げる行為は「おおむね事実」とした。

 斎藤知事は「業務上必要な範囲での指導や注意」と主張するが、斎藤知事の行為に「不適切な叱責があったと言わざるを得ない」とした。

 そのうえで、パワハラの定義である①優位性を背景に行われる②業務の適正な範囲を超える③労働者の就業環境を害する、の全てに該当する可能性があると指摘。「パワハラ行為と言っても過言ではない」と結論づけている。

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