「停電が完全復旧するまでに1週間以上かかる見通し」
2018年9月6日、北海道石狩市にあるITインフラの拠点・データセンターで、さくらインターネット役員の前田章博(43)はテレビから聞こえてきた情報に耳を疑った。
午前3時7分に起きた最大震度7の北海道胆振東部地震で、道内は国内初のブラックアウト(全域停電)に陥っていた。
データセンターでは官庁や企業のウェブサイトのサーバーなどを管理する。顧客数は約3万8千に上り、センターが機能停止すれば、全国の公共サービスや経済活動に影響が出てしまう。
だが、12台の非常用発電機を動かす重油は48時間分しかなかった。前田は東京支社や石狩市などと折衝し、燃料調達を急いだ。
停電から約37時間後。重油を積んだタンクローリーが到着し、補給を完了。8日午後2時、電力供給が復活し、施設は59時間の停電を乗り越えた。
SNSから地図アプリまで多様なサービスの土台となるネットは、電気やガスと同様、不可欠なライフラインだ。
荒れ狂う日本海 NTTドコモとKDDIが合同で
24年元日に発生した能登半島地震では携帯電話の基地局、最大839局が停波した。石川県輪島市など被災6市町では約6割に及んだ。携帯電話に届く電波は音声通話とネット接続のための基盤であり、その維持は重要だった。
NTTドコモなど携帯4社は約100の移動基地局を陸路で被災地に派遣したが、輪島市町野町には道路寸断で近づけなかった。そこでドコモとKDDIは、アンテナなどを積み込んだケーブル敷設船「きずな」を派遣し、海上から電波の受発信をすることにした。両社は災害時に船舶を相互利用する協定を結んでおり、今回はNTTグループの船が使われた。
出航から37時間後の6日午…