辺野古北側の大浦湾。工事関係の船舶が多数停泊していた=2024年12月25日午後、沖縄県名護市、朝日新聞社機から、川村直子撮影

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐり、防衛省の設計変更申請を不承認とした県の処分を国が取り消したのは違法だと、県が訴えた抗告訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(中村慎裁判長)は県側の上告を退けた。裁判官5人全員一致の意見。

  • 【そもそも解説】「辺野古」の原点とは何か、混迷の真相

 16日付の決定。辺野古移設をめぐる国と県の間の訴訟は計14件あり、今回が最後まで残った訴訟だった。国と県の裁判闘争は終結し、和解・取り下げの4件を除き、いずれも県の敗訴が確定した。

 防衛省沖縄防衛局は2020年、辺野古の埋め立て予定区域に広がる軟弱地盤の改良工事をするため、設計変更を県に申請したが、県は不承認とした。防衛局からの審査請求を受け、国交相は22年に県の不承認を取り消す「裁決」をした。県は裁決取り消しを求めたが一、二審で「裁判の対象にならない」とされて敗訴。第一小法廷も上告理由にあたる判例違反などがないとだけ判断した。

 一審・那覇地裁は、国の裁決は、規定の紛争解決手続きに基づいて示された最終判断であり、さらに不服申し立てを認めれば「迅速な解決が困難になる」と指摘。国の裁決に対して都道府県が争えるとする規定は地方自治法などにもないため、県は訴訟で裁決の当否を争えないと判断した。二審・福岡高裁那覇支部もこれを支持した。

 今回の決定を受けて沖縄県の玉城デニー知事は17日、「司法が具体的判断を示さずに門前払いしたことは極めて残念。引き続き政府に対し対話による解決策を求める民主主義の姿勢を粘り強く訴える」とコメントした。

共有
Exit mobile version