農作業事故の一例

 農作業中の事故が各地で後を絶たない。農林水産省の統計によると、2022年の死亡者数は238人で、死亡事故が発生する確率は全産業平均の約10倍にも上る。同省は今年、26年までに農作業全般の死亡事故者数を22年から半減させる目標を設定し、安全対策の徹底を呼びかけている。

 農家の高齢化が進む中、事故は人手不足を加速させる要因にもなりかねないと専門家は指摘する。

 9月5日、北海道津別町でジャガイモの選別中の69歳の男性が、収穫機と地面の間に挟まれて死亡した。トラクターのエンジンを止めようと、収穫機から乗り移ろうとしたところだった。

 同町では8月26日にも、女性が収穫車に挟まったジャガイモを取ろうとし、突然動き出した車に左足の太ももまで巻き込まれて骨折する事故があった。別の作業員が女性に気付かずに車を動かしたという。

 JA長野中央会によると、長野県では今年、農作業車が関係する死亡事故が5件発生(8月20日時点)した。東御市では8月19日午後11時ごろ、佐久市の農業の男性(86)のトラクターが畑の脇の林に転落しているのを家族が見つけ、110番通報した。男性はトラクターの下敷きになっており、その後死亡が確認された。男性は日中にひとりで畑作業に出かけ、運転していたトラクターとともに林に転落したとみられるという。

 担当者は「高齢者が関係する事故がかねて多い」と話す。毎年、5月と9月の農作業安全運動月間にラジオを通じて事故防止を呼びかけ、県内の各JAに啓発用のチラシや動画を提供するなどして安全対策を呼びかけている。

 背景にあるのが、農業従事者の高齢化だ。22年の農業従事者122万6千人のうち、約7割が65歳以上だ。

 事故による死亡者数自体は2…

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