全壊した倉庫などから取り出した漆器を持つ田谷昂大さん。奥は全壊した工房=2024年4月30日午前9時32分、石川県輪島市、水野義則撮影

 能登半島地震から1日で4カ月。最大震度7の揺れは、歴史や風土が育んだ生業(なりわい)を深く傷つけた。それでも寄せられるファンの期待が、被災した人たちに前を向く力を与えている。

 終わったな――。輪島塗を家業とし、200年以上続く「田谷(たや)漆器店」10代目で代表取締役の田谷昂大(たかひろ)さん(32)に、そんな思いがよぎった。

  • 能登半島地震から4カ月、空から見た復興の歩み 発生時と比較

 1月1日夕、輪島朝市(石川県輪島市河井町)が燃えていた。完成間近だった自分のギャラリーも炎にのまれた。

 その日のうちに、電話が鳴った。取引先の九州のすし屋の大将だった。「いますぐ義援金を送りたい、口座を教えろ」という。断ると激怒された。「お前。人の優しさとか、素直に受け取れねえとだめだぞ」

 助けを求めてもいいんだろう…

共有
Exit mobile version