救急需要が増加傾向にあるなか、高松市は1日、患者を別の病院に移す転院搬送に特化した「日勤救急隊」を発足させた。特定の目的を持った救急隊を作るのは、県内で初めて。
日勤救急隊は、定年延長者のほか、子育てや介護といった家庭の事情などで24時間勤務がかなわない男女6人で編成する。運用時間は平日の午前9時から午後4時で、比較的緊急度が低いと判断された転院搬送に対応し、他の救急隊が緊急度の高い救急事案に、迅速に対応できるようにすることがねらい。
高松市消防局によると、同局が管轄する同市と三木町、綾川町での2023年の救急出動件数は、2万7041件。22年の2万5263件より、約2千件増加し、2年連続で過去最多を更新した。このうち、約1割を転院搬送が占めており、平日の日中に発生する転院搬送の半数にあたる年900件を日勤救急隊が担う見込みという。
日勤救急隊が拠点とする高松市南消防署で1日、発隊式があった。救急隊の三井清加隊員(46)は「子育て中で24時間勤務がかなわない私でも、現場活動ができることを誇りに思う。救急車の適正利用につながる活動ができれば」と決意を語った。(内海日和)