スズキからBYDにくら替えした販売店=2024年3月28日、バンコク、稲垣千駿撮影

アジアのデトロイトはいま

 日本の自動車メーカーが育み、アジアの「デトロイト」といわれるタイで、いま、異変が起きています。日本車の牙城に食い込み、そのシェアを奪いつつあるものは。その最前線を報告します。

 バンコクの大通り沿いに、その販売店はある。

 「BYD」と大きく書かれた看板が目に飛び込んでくる。

 店頭には中国の電気自動車(EV)大手BYDの人気小型車「DOLPHIN」などが並ぶ。平日でも店内は混んでいた。

 「2022年ぐらいまでスズキの販売店だった」。店の関係者が明かした。

 「スズキはノーマルカーしか売っていなかった。BYDは信頼感もあるし、何よりEVにはポテンシャルがある」。BYDに「くら替え」後、30代の男性を中心に客は増えたという。

 いま、バンコクでは街の至る所で、スバルやマツダといった日本車の販売店が、気付けば中国メーカーの販売店に替わっている。

 完全に転向した店もあれば、日本車に加えて中国勢のEVも取り扱い始めた店など、さまざまだ。

■ちらつく財閥の影、日本とも…

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