「今晩孫が帰ってくるの。魚が好きなのよ」
10月の金曜日、人口約4700人の高知県日高村に暮らす吉田啓子さん(85)は、隣町のスーパーでサンマ4匹を買い物かごに入れながら、つぶやいた。
そして、こう続けた。
「月曜は祝日でバスが出ないから、多めに買っちゃった」
支払いを済ませた後、野菜や洗剤でぎゅうぎゅうのリュックをカートで運んで向かった先は「緊急 日高村買い物支援サービス」と表示されたワゴン車。10人乗りの車内は、吉田さんと同じように日高村から来た買い物客でいっぱいになった。
吉田さんらは今夏まで、日高村で唯一のスーパー「サンシャイン日高店」で買い物をしていた。
当たり前と思っていた生活が一転したのは、同店が客の減少で閉店というニュースを人づてに聞いてからだ。
半世紀以上の常連客で、「地元の新鮮な野菜や豆腐が買えるから」と週1、2回は徒歩で20分かけて通っていた吉田さんは「どうしようかと途方に暮れました」
手を差し伸べたのは、村役場だった。
人口減少と高齢化が進む中、地域で親しまれてきたスーパーが閉店し、住民が困惑する町村が全国で増えています。現場を取材し、課題を探りました。
買い物支援策に10万円の補正予算
村民の買い物支援策として…