形勢が行きつ戻りつし、どちらが勝つのかわからない。23、24日に千葉県成田市で指された将棋名人戦第2局。難解な終盤戦を藤井聡太名人(21)が制し、開幕2連勝とした。挑戦者の豊島将之九段(33)は序盤に形勢を損ねたが、容易に土俵を割らない耐える将棋を見せ、一時逆転に成功した。
成田山新勝寺。午後6時の鐘が鳴ってから約5分後、自陣に隠れていた豊島の角が端に出て敵陣をにらみ、攻撃に参戦した。
名人戦第2局2日目。盤上の駒たちが躍動し始め、本格的な終盤戦に突入した。 激しい攻め合いになり、形勢は行きつ戻りつ、めまぐるしく動く。控室ではそのたびに、プロ棋士ら検討陣から「うわあ」「どちらが勝つのかわからない」といったどよめきや歓声があがった。
午後9時ごろ。勝敗を分ける岐路が訪れる。
終盤に現れた「詰み」と「千日手」という二つの道。豊島将之挑戦者の選択はーー。そして対局中にあった第2のハイライトとは。終局後の両対局者への取材から振り返る。
手番は豊島。▲5三角の王手…