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付属図書館中央館は肥後銀行との契約で「ひご未来図書館」になった=2024年12月4日午後0時49分、熊本市中央区黒髪2丁目、伊藤隆太郎撮影
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 熊本大学で次々と、企業名を冠した施設が登場している。国からの運営費交付金が減るなか、新たな財源の確保をねらって導入したネーミングライツ(命名権)事業の成果だ。契約が順調に伸び、8件に上っているという。

 昨年8月に事業選定委員会を設置し、今年4月から契約が始まった。第1号は肥後銀行で、「付属図書館中央館」の名称が「ひご未来図書館」と変わった。正面玄関に大きく名前が表示され、銀行のロゴも掲げられている。

 その後、「イノベーションプラザ」が「東京エレクトロンイノベーションプラザ」、「渡鹿体育館」は「VOLTERS GX」、「北地区学生会館A棟」は「KDSコミュニティプラザ」などと続く。VOLTERSは地元企業が運営するプロバスケットボールのチーム、KDSも地元のドライビングスクールだ。

 12月は3件の新規契約があり、「大江体育館」が「KMバイオロジクス体育館」などになった。

 文学部と法学部が入る文法棟の1階A2講義室は「くまトヨ講義室」に変わり、学生ロビーにも「くまトヨロビー」の名前が付いた。熊本トヨタ自動車との契約だ。記念式典で小川久雄学長は「大学と地域の活性化に資するほか、企業との連携機会が広がり、教育環境が向上する」と意義を強調した。

 契約金は施設ごとに異なり非公開だが、大学側の希望条件は年間200万円以上や500万円以上という。「目標数などは定めていないが、一層の収入多角化を進めたい」と、担当の施設企画課。まだ候補施設が40以上あるほか、施設内の個別スペースも対象になる。

 「くまトヨ講義室」の扉からは、キャラクターの「くまトヨ君」が来室を招くように顔を出している。学生からは「まるで幼稚園。でも、かわいいからOKかな」「著名な企業からの支援は誇らしい」という声があがった。

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