鮫洲運転免許試験場では、受験者が1人ずつ机に座り、タブレット端末で認知機能検査を受ける=2024年9月12日午前11時26分、東京都品川区、御船紗子撮影

 75歳以上が運転免許を更新する際に受検を義務づけられた「認知機能検査」の合格率が、導入された2009年から昨年までの平均で97・6%となっていることが、警察庁のまとめでわかった。不合格者が限られる状況で実効性に疑問の声もある一方、高齢者事故防止では追加の対策が取られている。

 認知機能検査に不合格となると、医師の診断を受けなければならず、認知症と判断されれば免許は更新できない。

 杏林大名誉教授(精神生理学)の古賀良彦さんによると、車の運転は「脳の様々な力を同時に使う高度な作業」。記憶力のほか、人や車との距離をつかむ視空間認知機能▽注意力▽判断力が求められる。これらは加齢とともに低下して事故のリスクが高まる。

 警察庁によると、制度導入以降の年ごとの合格率は96.3~98.7%で推移し、平均すると97.6%。古賀さんは「高すぎる合格率は検査を形骸化させてしまう」と懸念する。

 一方、17年からは免許更新時以外でも特定の違反行為をすれば、認知機能検査を受けなければならなくなった。22年には、一定の違反歴がある人を対象に免許更新時の運転技能検査が設けられた。警察庁の担当者は「対策を重ねることで、事故の抑止を図っている」と話す。

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