個人から寄贈されたレオノーラ・キャリントンの絵画「ウルでの狩り」=名古屋市東区の愛知県美術館

 愛知県美術館(名古屋市東区)が3月末、県内在住の個人から、英国の女性画家レオノーラ・キャリントン(1917~2011)の作品「ウルでの狩り」の寄贈を受けた。最近は女性画家の作品の評価が見直されているといい、その価値、なんと5億円。同館で6月30日まで展示されている。

 キャリントンが第2次世界大戦中に移り住んだメキシコで、第1子を出産した1946年ごろの作品。馬にまたがってやりで狩りをする生き物たちが、巨大な角を持つ鹿を取り囲んでいる様子が描かれている。副田一穂学芸員は「幻想的で独特の世界観がよくわかる」と話す。

 戦時中に激動の人生を歩み、良作を残したキャリントン。副田さんによると、近年は欧州や米国で、女性の作品に注目が集まり、評価が上がっているという。キャリントンの絵画は、他に宮崎県立美術館(宮崎市)が油彩画を1点所蔵しているのみで、国内で鑑賞できる貴重な機会だ。

 同館の所蔵作品では、クリムトの「人生は戦いなり(黄金の騎士)」(評価額17億7千万円)、ピカソの「青い肩かけの女」(同14億円)などに次ぎ、5番目に高いという。今回は、キャリントンの恋人だったドイツ人画家マックス・エルンストの作品とともに展示されている。(小原智恵)

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