真面目な働きぶりと行き届いた指導が、特殊詐欺の被害を食い止めた。
大阪府警生野署は17日、「セブン-イレブン大阪桃谷5丁目店」(大阪市生野区)のアルバイト店員、グエン・タン・ビンさん(33、ベトナム国籍)とオーナーの井上丈嗣(たけつぐ)さん(49)に感謝状を贈った。
事件が起きかけたのは11月16日の夕方。50代の女性客が、焦った様子で計40万円分の電子マネーを買おうとしていた。
店番のグエンさんが「何に使うのですか」と聞くと、女性は泣き始めた。その様子にグエンさんは「おかしいぞ」と直感し、声をかけて購入を思いとどまらせ、警察に通報した。
勘は当たった。女性は、電子マネーを買ってデータを送るよう犯人側から指示されていた。
グエンさんの機転は、井上さんの日頃の教えのたまものだった。
外国籍の住民が多い土地柄、同店ではグエンさんを含め18人のベトナム人が働く。
井上さんは他の日本人スタッフと同じように、高額の電子マネーの購入者がいたら詐欺被害を疑い、注意を促したり通報したりするよう伝えていたという。
井上さんが「何事にも率先して取り組み、信頼している」と評するグエンさんの夢はコンビニオーナー。7年前に来日して日本語学校で1年ほど学び、現在は関西弁も練習中だ。緊張した面持ちで感謝状を受け取ると、「これからも詐欺は絶対に食い止める」と力強く語った。