福岡県飯塚市で1992年、女児2人が殺害された「飯塚事件」で、死刑が執行された久間三千年(くまみちとし)元死刑囚(執行時70)の第2次再審請求の即時抗告審で、検察側は27日、福岡高裁が勧告した証拠開示に応じない考えを書面で明らかにした。弁護側への取材でわかった。
高裁は10月にあった初の三者協議で、弁護側が証言を新証拠だと主張している目撃者2人の初期供述の捜査資料と、捜査記録の一覧表の開示を検察側に求めていた。
弁護団によると、検察側は初期供述の資料について探した期間や場所、人数を示し「存在しない」と説明。一覧表については「必要性、相当性がない」と開示しない考えを表明したという。徳田靖之弁護士は記者会見で「およそ裁判所の勧告を正面から受け止めていない」と批判した。
一方、福岡高検の村中孝一次席検事は「一般論」とした上で「刑事訴訟法で検察官に書類目録の開示義務を認めた規定はないと認識しており、証拠開示に関し、事案に応じて適切に対応している」などとするコメントを出した。
第2次再審請求の一審・福岡地裁も昨年3月、検察側に開示勧告を出したが、検察側は「義務はない」と拒否。初期供述の捜査資料は「不見当(見当たらない)」としていた。