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訪問介護の基本報酬引き下げについて国会前で抗議の声をあげるヘルパーら=東京都千代田区
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 介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられ、業界から事業所の経営悪化などを懸念する声が上がっている。国会質疑でも取り上げられたが、厚生労働省側は「加算措置」を講じているといった説明を繰り返すばかり。こうした状況に登録ヘルパーの一人は「脱力感しかない」と肩を落とす。

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 介護報酬は今年4月、3年ぶりに見直された。全体では1.59%増と過去2番目の上げ幅となる一方、介護費用の増大を抑えるため、訪問介護の基本報酬は引き下げられた。

 介護報酬は、介護や支援の内容や、かかった時間に応じて国が価格を定めている。今回の改定では、全産業平均に比べて賃金が低い介護職員の人材流出を防ぐねらいで、全体の報酬を1.59%引き上げ、うち0.98%を職員の賃上げにあてることにした。しかし、サービス別に見ると、基本報酬については、特別養護老人ホームなど施設系で増額となった一方、訪問介護は2~3%程度引き下げられた。

 厚労省は、訪問介護の利益率がほかのサービスよりも高いとする調査を示し、引き下げの主な根拠としてきた。だが、2022年度の決算では訪問介護事業所の36.7%が赤字だった。都市部の大手事業所やサービス付き高齢者向け住宅などの施設併設型の事業所が利益率を引き上げており、中小の事業所では赤字に陥っているとみられる。

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 基本報酬の引き下げが明らか…

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