相撲茶屋「高砂家」のおかみだった故市毛弘子さん。5月場所中に茶屋に顔を出すと、決まって「ソラマメ」を振る舞ってくれた。

 東京・両国の国技館では、1月の初場所、5月の夏場所、9月の秋場所と、4カ月ごとに大相撲の本場所を開催している。その3場所中、20軒ある相撲茶屋では客に季節を感じてもらおうと、場所ごとに異なる「マメ」を用意している。

 9月はとれたての枝豆。1月は干した大豆を水で戻して炊いた「力豆」。5月がゆでたソラマメだ。高砂家のおかみは決まって、これらの豆を僕にくれた。

 かつては舟の形をした木製の…

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