1日に運行を始めた観光特急バス=2024年6月1日、JR京都駅前、武井風花撮影

 京都市が1日に運行を始めた「観光特急バス」は、観光客の利便性向上とともに、観光客と市民をできるだけ「分離」しようとする取り組みだ。国の制度改正という後押しも受けた。市が今後どのような混雑対策を打つのかも注目される。

激しくなる混雑、バスに乗らず徒歩選ぶ人も

 運行開始1週間前の5月25日午前、清水寺方面行きの京都駅前のバス乗り場には常に50メートルほどの列ができていた。スーツケースを持った観光客も多く、係員が列を整理していた。京都市東山区の無職男性(81)は、自宅に帰るために列に並んだ。「(列は)いつもこれくらい。そんなに混んでいない方」。列が長い時は、バスに乗らず歩いて帰るという。

清水寺などへ向かう市バス乗り場には常に行列ができていた=2024年5月25日午前10時43分、JR京都駅前、武井風花撮影

 コロナ禍が明けて観光客が京都市に戻り、市バスの混雑は激しさを増している。市民も普段使いするバスに乗り込む観光客を減らそうと、観光特急バスは運賃設定で工夫をこらした。

運賃2倍 1日券は○、敬老乗車証・定期券は×

 運賃は通常の約2倍だが、観光客向けのフリーパス「地下鉄・バス1日券」を使って乗車することはできる。一方で、市民が利用する敬老乗車証や定期券などは利用できない。結果として、観光客は観光特急バス、市民は通常のバスというすみ分けを促す。

通常の市バスは後払い方式だが、観光特急バスはトラブルを避けるため先払い方式になっている=2024年6月1日、京都市内、武井風花撮影

 運行初日に観光特急バスを利用した30代の会社員女性2人は徳島市から訪れた。「空いていて快適だった」。さっそく1日券を利用して乗車したという。500円という値段設定については「少し高いけど、座れるなら払うかな」と話した。

国の制度改正「京都が念頭に」

 今回、運賃を柔軟に設定でき…

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