一昨年9月に閉店した千葉県いすみ市の食堂で人気メニューだった「ばくだんコロッケ」が復活した。仕出し料理や弁当を販売する傘屋商店(いすみ市行川)が1月17日、同社が営んでいた「かさや食堂」の人気商品の販売を始めたのだ。商工団体主催の企画を生かし、復活につなげたものだった。

 傘屋商店は1893(明治26)年、屋号の由来となった番傘製造業として創業した。その後、食品販売や小売業などに業態を変え、2015年に仕出し業と並行して「かさや食堂」をオープン。ばくだんコロッケは、同食堂の開店当初から提供していた「ばくだん定食」の一品だった。

 傘屋商店が現在販売している「かさやコロッケ」の倍の大きさで、旭市のブランド豚「いも豚」と自家菜園で育てたジャガイモとタマネギを使い、手作りしていた。

 まん丸の形にお好みソースとマヨネーズをかけて食べる。見た目は特大のたこ焼きのようだ。

 ばくだん定食は、この巨大コロッケを、ゆで卵をひき肉で包んだ特大スコッチエッグ「ばくだんメンチ」と共に同じ皿に盛りつけた人気メニューだった。

再チャレンジ促す企画で「復活」

 なじみ客のほか、いすみ鉄道上総中川駅から徒歩5分ほどの場所にあって、観光客も立ち寄り、情報番組でも紹介されて食堂はにぎわった。しかし、一昨年、人手不足などにより閉店し、ファンたちを悲しませた。

 閉店後も、利用者からもう一度味わいたいとの声が多かった。そうしたなか、既存の商品に改良を加えて再チャレンジにつなげるという、いすみ市商工会主催の「リバーサル商品」プロジェクトの一環として復活した。

 傘屋商店を経営する大久保安佐子さん(68)の三女・友加里さん(38)は「いも豚は脂が甘いので、コロッケも甘め。大きなコロッケを食べて、おなかいっぱいになってほしい」と話す。

 価格は1個税込み600円。さらに、ゴルフボールサイズで車内でも食べやすいコロッケ5個入りの「ばくだんコロッケ・ミニ」も同500円で新発売した。いずれも前日までの予約が必要だ。

 安佐子さんは「楽しみに買いに来てくれる人がいる限り続けたい」と話している。

 傘屋商店(0470・86・3535)の営業時間は午前10時半~午後4時半。火曜定休。

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