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老人ホームなどの高齢者施設に入所者を紹介する業者に対し、入所者の要介護度に応じた高額な紹介料が施設から支払われている問題で、福岡資麿厚生労働相は18日、こうした事例について「不適切」と認めた。紹介料の上限規制の必要性を問われ、「さらなる対応を検討する」と述べた。
衆院予算委員会で日本維新の会の梅村聡議員の質問に答えた。
- 要介護度高い高齢者に「高額値付け」 老人ホーム紹介ビジネスが横行
入所者の紹介料は、要介護度や病状に応じて数十万~百数十万円になっている。高い介護・診療報酬を得られる入所者を施設側が求め、入所者が希望の施設に入れない事態も起きていることを朝日新聞が17日に報じた。
梅村氏は紹介料を巡る問題について、「介護保険や医療保険で稼げる患者さんを入れるともうかる」と指摘。紹介料について「上限規制をきちんと入れるべきだ」と問うた。
紹介料の上限規制「必要性を検討する」
福岡厚労相は「不適切な手数料設定を行うことで公平性に疑念を持たれる事例が存在する」と言及。「介護サービスには公平性や透明性が確保されることが大変重要」とし、「報道があった事例は、(紹介業者が)介護サービスの利用に不適切な形で関与したものと考えられる」と話した。紹介料の上限規制については「さらなる対応の必要性を検討する」と述べた。
厚労省は昨年12月、要介護度にひもづいた料金設定は不適切として、施設側を指導するよう自治体に求める通知を出したが、福岡厚労相はさらに踏み込んだ対応の検討を示した形だ。
また福岡厚労相は、退院支援などにあたる医療ソーシャルワーカーが紹介業者から受けている接待について問われ、「紹介業者からの金銭授受をもって特定の退院先に誘導することは適切ではない」とし、「医療機関においてはこうした視点に照らして適切な対応が必要だ」と述べた。
加藤財務相「大変大きな問題」
梅村氏は、高額の紹介料について「介護・医療保険が使われるビジネスになってきた」とし、財務省の問題意識も尋ねた。加藤勝信財務相は「税や保険料で賄っているお金がそちらに移っていってしまうことは大変大きな問題。介護が必要な方が本来適するところではなく、事業者、紹介事業者側の都合であっせんされるということは全く良くない」と話した。