埼玉西武ライオンズの中村祐太。2023年オフの現役ドラフトで広島東洋カープから移籍した=2024年6月4日、神宮球場、平田瑛美撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 「あの試合があったから、まさかライオンズはないだろうと思っていたんですよ」

 中村祐太(28)にとって、埼玉西武ライオンズは縁のあるチームだった。

  • 「今日が最後になっても」 西武・田村伊知郎の覚悟、乗り越えた過去

 2023年オフ、現役ドラフトで広島東洋カープから移籍した右腕。広島での最後の1軍登板は、その年の6月18日、交流戦の西武戦だった。救援に失敗して4点を失った苦い日だった。

 以降、層の厚い1軍の投手陣のなかに割って入れなかった。それでも、「自分ができることをやっていれば、誰かが見てくれるだろうとずっとやっていました」。2軍では防御率1.08の好成績を残した。

 シーズン終了後、西武が中村祐の獲得に手を挙げた。入団会見では両球団への感謝を口にし、こう続けた。「現役ドラフトの価値を上げていきたい」

 東京・関東一高出身。2年春の選抜大会でベスト4の原動力となり、13年秋のドラフト5位で広島に入団した。先発投手として17年のリーグ優勝に貢献。ただ、翌年以降は思うような結果が残せず、救援に回っていた。

 中村の直球は、カットしながら打者の手元で伸びるような特殊な軌道で、バットの芯を外しやすい。新天地ではすぐに、手薄だったリリーフ陣で貴重な戦力となった。

 主に劣勢での登板を任され、5月17日のソフトバンク戦から7試合連続で無失点に抑えている。

 「ビハインドだと流れは向こうにあるけれど、それをどう変えていくかは中継ぎの難しさでもあり、楽しさでもある」

 試合開始から待機し、1試合で何度も肩を作るときも。負担はマウンドに上がらずとも大きい。「先発も、回またぎも、連投も大丈夫」。安心して腕を振れるのは、中村の「一番の理解者」がブルペンにいるからだという。

 20年に西武に復帰した青木…

共有