ドイツが拠点の美術家・西川勝人(かつひと)(1949年生まれ)の初期から新作までを集めた大個展が、東京への移転と縮小の方針が示された千葉県佐倉市のDIC川村記念美術館で開催中だ。静けさ漂う詩的な展示は同時に、これが最後の本格的な企画展になる美術館にふさわしいものになっている。
自然光での展示を志向する西川。美術館の展示室には珍しい大窓のある部屋では、床にイタリア・ベネチアで制作した有機的なガラス立体を置き、壁にアクリルガラスによる板状の連作を並べた。樹木の間を抜ける光と呼応するように。
美術を学ぶために23歳でドイツに渡った西川は白色の彫刻を中心に、写真や絵画も手がけてきた。その持ち味が最も分かるのが、6メートルの天井高を持つ、21・6メートル四方の大展示室だ。
西川はこの空間を、高さ1メ…