現場へ! デフリンピックが来る(2)
「今のはセンターの選手が退いて、そのポジションに違う選手が入っていって……」
1月中旬、大阪府立中央聴覚支援学校(大阪市)の体育館。静かなバレーボールコート上で身ぶり手ぶりのやりとりが続いていた。
女子デフバレーボールの「tortoise(トータス)」は全国大会「ジャパンデフカップ」で3連覇中の強豪クラブチームだ。この日は新年最初の練習だったが、2月の同大会に向けてプレー陣形の確認に余念がなかった。
同校体育教諭の杉本真澄(65)は、かつて通常学級の中学、高校でバレー部を指導していた。2008年、tortoiseの監督に就任。「デフバレーはとにかく繰り返し練習をやって、あうんの呼吸を身につけていく」。「スプレッドブロック」など手話表現にないバレーの専門用語は、指文字で「す」「ぷ」「れ」「っ」「ど」と説明するという。
バレーボールのルールと大きな違いはない。ただ、音が聞こえない・聞こえにくい選手たちにとって、とっさに声をかけ合いながらコミュニケーションをとって行う連係プレーは難しい。普段の練習から動きの約束事を決めておくことが重要になる。
細かいセットプレーのポジションを確認する場合はホワイトボードに描いたり、大会前に陣形の写真をLINEで共有したりして、図としてイメージを覚える。杉本は「以前は右手で板書しながら、左手だけの手話で説明することもあった」。
日本の女子は強豪国の一つだ。11月に日本で初開催される国際スポーツ大会「デフリンピック」では、前々回の17年大会で金メダルを獲得し、昨夏の世界選手権(沖縄)でも優勝した。
めったにいない手話できる指導者
世界選手権のメンバーで、今…