能登の被災地にエールを送ろうと制作した壁画を囲む津幡南中の3年生=2024年10月31日午後3時25分、石川県津幡町南中条、前多健吾撮影

 能登半島地震や豪雨災害に遭った被災地にエールを送りたいと、石川県津幡町の津幡南中学校の3年生が能登の廃材やがれきを使った巨大壁画を完成させ、10月31日、学校祭で披露された。

 壁画は高さ3メートル、幅6メートル。「震災を忘れず、ずっと伝えたい」との思いから、正面玄関に飾られる。

 元日の地震では、津幡町でも液状化などで道路陥没や家屋損壊の被害が出ている。同中も断水でトイレが使えず、2週間ほど仮設トイレを使った。奥能登から転校、避難してきた生徒もおり、学校で募金活動を続けてきた。

 これからも被災地を励まし、笑顔を忘れないでほしいと、3年生と学年担当の教諭らが壁画づくりを発案。より能登を身近に感じたいと、被災地の廃材で制作することにした。廃材集めには穴水町の教育委員会が協力。被災家屋の柱や割れた瓦、食器など2トンを集めた。

 図案・デザインも生徒や美術の教諭らが相談して決定。能登半島を、強い生命力を示す麻の葉文様、加賀地方を桜文様にし、津幡町の「町の鳥」の白鳥が、「希望」「常に前進」の花言葉があるガーベラの空に飛び立つ様子を描いた。生徒全員の気持ちを込め、「前を向こう 私たちは一人じゃない」というメッセージも添えた。

 3年生172人が、瓦や木材を細かく砕いたり、色を塗ったりして3週間かけて完成させた。中心になって制作した谷口ゆずのさん(14)は「豪雨災害も重なり、大変な思いをしている人がたくさんいると思う。でも、みなさんは1人じゃないという気持ちと、元気をあげられたらという気持ちを込めた」と話した。(前多健吾)

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