中国の新疆ウイグル自治区ウルムチの西にあるウス市。人口約26万人のこの地方都市を7月1日に訪れると、郊外の荒れた空き地の一角が芝で覆われていた。

 付近の複数の住民によると、かつてモスク(イスラム教礼拝所)が建っていたが、取り壊されたという。グーグルアースの衛星画像でも、2017年9月にはドーム状の屋根をもつモスクとみられる建造物があったが、次に公開されている2018年6月以降の画像では消えていた。

 記事後半では、モスクが取り壊されてバス乗り場に変わった場所の過去と現在の姿を、衛星画像で比較できます。

 新疆ウイグル自治区では多数派の漢族の流入が進んできたが、とくに地方ではイスラム教を信仰する少数民族のウイグル族が多く暮らす。居合わせたウイグル族の中年男性は、「モスクは付近の住宅とともに取り壊された」と説明した。男性は礼拝に行かなくなり、住民たちは「散り散りになった」という。

モスクがあったとみられる場所。住民によると、周辺には住宅や商店もあったが取り壊されたという=2024年7月1日、中国新疆ウイグル自治区ウス市、金順姫撮影

 なぜモスクは取り壊されたのか。男性は「それは話せない」と答えた後、右手で自分の頭を後ろから押し下げるしぐさをして言った。

都市部よりも地方が

 「ウイグル族は抑えつけられ…

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