来年1月9日告示の岐阜県知事選に立候補を表明していた自民党の渡辺猛之参院議員(56)=岐阜選挙区=が9日、一転して出馬断念を表明した。野党が躍進した衆院選を受けての決断だという。背景に何があったのか。
「県内の多くの市町村長、支援団体や皆さんから期待の声をもらいながら、それに応えられないことは胸が張り裂けるような思いだ」
9日朝、岐阜県美濃加茂市内のホテルで渡辺氏は、報道陣に胸の内を語った。
渡辺氏が立候補を表明したのは10月上旬。「県内42市町村のことを一番よく知っている」と述べ、県議と参院議員を計約30年間務めた実績を強調。県内40市町村長から出馬要請を受けるなど十分な態勢を整えて臨んだ立候補表明だった。
知事選には既に元内閣府大臣官房審議官の江崎禎英(よしひで)氏(59)が立候補を表明。江崎氏も自民党県連に推薦願を提出していたが、江崎氏には、現職の古田肇知事との保守分裂選挙となった前回知事選で自民の国会議員や地方議員、首長らの多くを「敵」に回した過去がある。
再度の分裂回避のため、県連は候補者の「一本化」を掲げており、自民の推薦獲得は渡辺氏が有利だとみる向きもあった。
議員会館で迫られた決断
その潮目が変わったのが、衆院選だった。
渡辺氏の地盤を含む岐阜4区…