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福岡市で衆院選の候補者にインタビューする高田陽平さん=本人提供

 「普通に栽培して、乾燥・調製がうまくいけば1等米になる。コシヒカリの2等米が連続して出るなんて、いままで経験ないよ」。米農家が1986年に設立した新潟市の農業生産組織「木津みずほ生産組合」の坪谷利之代表(65)は、首をかしげる。

 昨年、生産歴42年目にして初めて、玄米の背と腹の部分が白く濁る2等米になった。白い部分は柔らかく、精米後の歩留まりが悪くなる。梅雨明けから9月まで続いた高温と渇水の影響とみられた。

 「稲を人間に例えると、マラソンランナーが1度も給水せずに完走を迫られている状況だった」

 作況指数は、全国が「平年並み」の101だったのに対し、新潟は「やや不良」の95だった。

「我々だけでは対処できない」

 今年は9月25日現在で「やや不良」の98。坪谷さんの水田では多くが1等米だったが、収穫期の9月後半に雨が降り、刈り取りが遅れた。倒伏した稲に栄養がいかず、1割ほど2等米が出た。

 日照不足、ゲリラ豪雨、カメムシの発生。原因は一つではないが、「気候変動の影響はあると思う。我々の力だけではどうにも対処しようがない」。手をこまねいているわけにもいかず、堆肥(たいひ)などを入れ強い土づくりに努める。

 だが、気候変動に関する候補者の訴えはあまり聞こえてこない。「物流や中山間地への対応、害獣対策などいろんなことが絡んでいる。トータルで政策を考えてほしい」(上地一姫)

 「当選したらどんな気候変動対策を進めますか」

 投開票日を翌週末に控えた土曜日。福岡市の大学生、高田陽平さん(21)は福岡2区の候補者の1人にこうインタビューした。10月にもかかわらず、前日には同市で統計開始以降、最も遅い真夏日という「異常気象」を記録していた。

猛暑、米不足、相次ぐ災害――。生活の中で、気候変動の影響を感じることが増えました。対策は待ったなしなのに、衆院選ではあまり議論になっていません。なぜなのでしょうか。

インタビューの依頼、大半が返事なし

 緊張した面持ちで、市内の選…

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