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今年、カイコの飼育を担当した子どもたち=前橋市五代町
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 蚕の飼育に取り組む前橋市のふたばこども園(木暮恵園長)がこのほど、一般財団法人大日本蚕糸会(本部・東京)から「蚕を学ぶ奨励賞」を受賞した。

 園で蚕を飼うようになったのは15年ほど前。主幹保育士の茂木喜代美さん(60)が出勤途中、桑の葉に蚕の幼虫を見付け、園に持って来たのがきっかけだった。園長だった楢原直美さん(62)も「子どもたちが手がけた繭を使った活動ができないか」と感じていた矢先。園の周囲には桑畑が広がっているという環境もあり、蚕に大喜びする子どもたちを見て、決断したという。

 飼育担当は年長クラスの子どもたち。今年は17人が取り組んだ。毎年、5月の連休明けに群馬県蚕糸技術センターから卵をもらい、孵化(ふか)する所からスタート。地域の元養蚕農家が園のために残してくれた桑畑から葉を摘み取って与え、フンの掃除もする。園が休みの週末は、家に持ち帰って世話をする。「最初は虫が苦手という子も、育てているうちに情がわくようです」と木暮園長。

 今年取れた繭は約330個。保護者が繭でコサージュを作り、卒園式で子どもたちが胸に飾るのが伝統となっている。

 かつて養蚕が盛んだった県内でも農家数が減り、絵本の中でしか蚕を知らない子もいる。木暮園長は「命や成長を学びつつ、蚕の手触りやにおいが子どもたちの記憶の中に残り、地域の文化を受け継ぐことにつながれば」と話していた。

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