女性画を中心に大正ロマン、昭和モダンなどのレトロなイメージを描き、古巣の同人誌と商業出版の境を越えて人気を博すイラストレーター・マツオヒロミさん(1980年生まれ)。東京都文京区の弥生美術館で開催中の「マツオヒロミ展 レトロモダンファンタジア」で見せるのは、イラストとテキスト、漫画が融合した独自の幻想の世界だ。
2016年刊行の初の単行本「百貨店ワルツ」では、20世紀初頭に存在したという設定の架空のデパート「三紅百貨店」を舞台に、和洋の商品が共存する売り場の風景やそこに集う人々を描いた。イラストに加え、世界設定を補強するショート漫画とミニコラムが挿入されることで、単なる画集にとどまらない没入感が生まれている。
創刊100年を迎える虚構の…