6月23日、夜。
バレーボール日本代表のフィリップ・ブラン監督は、選手、スタッフ全員を集めた。
ネーションズリーグ第3週、フィリピンの宿舎でのことだ。
翌日の代表発表会見を前に、パリ五輪に挑むメンバーをチームに伝えた。
守備の要であるリベロに選ばれたのは、山本智大。たった一つの枠を争っていた小川智大は落選した。
小川は、わき上がる感情に頭がついてこなかった。その日のことは、よく思い出せない。
「ごめんな」。スタッフからはそう謝られた。
ブラン監督が最後まで悩んだのがリベロの選考だった。
「日本には今、世界一のリベロが2人いる。その中から1人を選ばれなくてはいけなかった」
バレーボールの国際大会では…