菅義偉前首相が23日、自民党派閥の裏金事件への対応をめぐり、岸田文雄首相に事実上の退陣要求を行い、党内に波紋を広げている。支持率が低迷する首相が再選に意欲を見せたことが引き金となり、向かい風が強まっている。

 21日、首相官邸であった記者会見。首相は「引き続き、道半ばの課題に結果を出すよう努力する」と語り、次期総裁選への意欲を示した。

 その2日後、そんな首相を菅氏が牽制(けんせい)した。文芸春秋のオンライン番組で、「自民が先頭に立って法案を提出し、議論をリードしていくのがある意味で当然だった」と述べ、首相の対応を批判。さらに9月の総裁選について「自民の刷新の考え方を国民に理解してもらえる最高の機会だ」と続けた。「刷新」との言葉をあえて使い、総裁選への不出馬を迫った形だ。

「よく言ってくれた」

 非主流派の代表格で、首相経験のある重鎮の発言だけに、党内では早速、反響を呼んだ。閣僚経験者の一人は、「よく言ってくれたと思っている人は多い」と賛同。「自分に責任がかぶさってこないようにすることばかり考えているから、野党や公明が言っていることを全部丸のみするはめになった」と語り、首相を突き放した。

 二階派ベテランが「総理経験者の菅さんが言えばみんな発言しやすくなるし、ムードを作れる」と歓迎すれば、岸田政権を支える麻生派中堅も「閉会して各地に散らばった議員が地元の声を受けて、退陣要求の大きな動きになるだろう」と予測する。

■菅氏と首相の「因縁」…

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