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JR東日本が、座席を取り払って荷物専用に改造した営業車両を今秋から東京―盛岡間で走らせる方針を固めた。JR関係者への取材でわかった。1編成すべてを荷物専用車に改造し、大幅な輸送力アップを目指す。荷物専用の新幹線車両が走るのは、1964年の東海道新幹線開業以来初めてとなる。
JR関係者によると、荷物専用に改造されるのは、山形新幹線「つばさ」として走る「E3系」車両。昨年から最新型「E8系」への置き換えが進んでいるが、このうち1編成(7両)から座席を取り払い、荷崩れを防ぐ装置などを取り付けることを検討している。貨物列車に比べ、揺らさず早く運べるため、精密機器や高級魚などの輸送需要を見込んでいる。
当面は東京―盛岡間に限定して走らせる計画という。乗客を運ぶ別の新幹線と連結して運行する。高速走行に耐えうる車体設計など車両開発には時間がかかることから、まずは改造車両を用いて輸送力を増やす考えだ。
JR東は今後、積み下ろし作業のために乗降ドアを拡大するなどした荷物専用車両を新たに開発する方針だ。
JR東の幹部は「デッキの業務用スペースで荷物を運んでいる現状と比べれば、輸送量は飛躍的に増え、大きな荷物も運べるようになる。まずは改造車両を使って、早く揺らさずに運べる新幹線荷物輸送の需要を喚起したい」と話す。
新幹線を使った荷物輸送サービスは、コロナ禍で乗客が激減するなか、JR東が2021年に「はこビュン」の名で定期輸送をスタートさせた。その後、JR西日本や九州も始め、24年4月にはJR東海も東海道新幹線を使った「東海道マッハ便」で参入し、北海道から九州までの全国新幹線網がつながった。