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茶の品種改良を研究する一家崇志・静岡大学准教授=2024年12月13日午前10時54分、静岡市駿河区、林国広撮影

 静岡県菊川市にある県農林技術研究所茶業研究センターは1世紀以上の歴史を持つ、茶専門の研究所だ。

 静岡大学農学部の一家(いっか)崇志准教授(44)が代表を務める研究グループは、ここに保存されていた茶樹から、新品種ができるまでの期間を半分に短縮する技術を開発した。これまでの品種改良とは違い、約150種類の茶樹を選び、そのDNA情報などを分析するという手法をとったのが特徴だ。消費者の様々な好みに応じつつ、茶農家にとっても育てやすい品種をつくるには、品種改良のスピードアップが欠かせなかった。

  茶の品種改良は通常、異なる茶を交配して栽培してから、カテキン類などの成分を調べていいものを選抜する。茶が成長しないと見極めができないため、改良には約20~30年かかるといわれる。ライフスタイルの変化とともに変わる消費者の好みや生育環境の変化に即応するのが、難しかった。

偏る栽培品種、農家に負担

 県内の栽培面積の約9割が「やぶきた」という伝統品種に偏っていることも課題だった。1品種に依存すると、茶葉の摘み取り時期が集中し、農家に負担がかかる。摘み取り時期の違う新品種ができれば、農家にとっても楽になる。

 研究グループは2016年から品種改良の期間短縮を目指して研究を本格化した。茶に含まれるカフェインやカテキン類、テアニンなどアミノ酸類の含有量やバランスがどのDNAの遺伝情報に由来するのかを調べた。

 その結果、DNAの遺伝情報…

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