イラク人質事件から今年で20年。当時18歳で武装勢力の人質となった今井紀明さん(39)が27日、故郷の札幌市で講演した。テーマは「繁華街に集まる子どもたちのセーフティネットを作る」。事件後に「自己責任論」でバッシングを受けて苦しんだ経験を糧に、いまは大阪で孤立しがちな若者の支援に取り組む。
講演では、2012年に自ら設立したNPO法人「D×P(ディーピー)」の活動を紹介した。個人や企業からの寄付金を元手に、通信制や定時制高校に通う生徒向けの出前授業や進路相談を始めた。18年からはLINEの「ユキサキチャット」で13~25歳の若者から悩み事や相談を受け付けている。現在、登録者数は約1万4千人。アンケートでは2人に1人が「ご飯を食べない日がある」と回答したといい、「これだけ厳しい環境に置かれている子どもがいることを私たちはもっと認識して、対応しなくてはいけない」と訴えた。
朝日新聞の取材に今井さんは…