地元4社でつくる「大曲の花火協同組合」が米国の花火会社と共演した作品「チャームド・ライト(魅惑の光)」=2024年4月27日午後8時31分、秋田県大仙市、室矢英樹撮影

 花火の礎を築いた男がいた。夢は、日本の「HANABI」を海外に広めること。この夏、遺志を継いだ花火師たちが世界最高峰のカナダ・モントリオール国際花火競技大会に初出場する。

 その男は、武藤輝彦(てるひと)さん(1921~2002年)という。姉は、日本初の女性弁護士・裁判官の三淵嘉子さん(旧姓・武藤)で、NHKで放送中の連続テレビ小説「虎に翼」の主人公・寅子(ともこ)のモデルだ。

 親交が深かった日本煙火協会の河野晴行専務理事(74)によると、武藤さんの父は台湾銀行を経て、川崎市の登戸地区で火工品会社「昭和火工」の経営に携わる。照明弾や発煙筒をつくっていたという。

視覚的な花火を文字に

 武藤さんは東京大学文学部を卒業し、陸軍に従軍。敗戦後、新聞記者などを経て、茨城県に火工品会社をつくり、1976年には北海道で花火会社「海洋化研」を立ち上げた。河野さんは「父の会社に出入りする花火師に魅了され、花火の世界に飛び込んだのではないか」と推測する。

 戦後まもなく、各地で花火大…

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